第三十一章

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「思っていたより、元気そうで安心したよ。」 「まぁ何とか生きてたよ。」 帰国した翌日、海斗と会った。 「さて、行くか。」 「あぁ。」 「きっとオマエが来るのを待って、待ちくたびれてるよ。」 「遅いって怒られそうだな。」 助手席に乗った俺は、5年前とさほど変わらない街並みを眺めていた。 「この辺りはたいして変わらないな。 もっと違ってるかと思ってたんだけどな。」 「変わらないさ。 人も街もそう簡単には変わらないもんだよ。」 俺は……あの時から変われずにいる。 現実逃避して、何も考えないようにして、ただ時間を過ごしてきた。 今から向かう先に、俺を変えてくれるきっかけとなるものがあるだろうか。 それよりも・・・冷静でいられるだろうか。
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