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「俺、ちょっと本堂行って住職に挨拶してくるわ。」
一人であらかたの事を終えたところで、海斗が言った。
「あぁ。」
気が抜けたようにただ立ち尽くしている俺を見て、奴なりの気遣いだろう。
有り難かった。
「時間、気にしないでいいからさ。」
「・・・・・・わかった。」
ひとりになって、先ず線香に火をつけた。
心は落ち着いていたはずなのに、
いざこの場所へ来てみると、5年前のあの笑顔、別れ際の彼女の姿が鮮明に浮かんでくる。
思い出さないようにしていたのに・・・
どうしようもなく悲しくなり、堪えられずに涙だけじゃなく声を出して泣いた。
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