第七章

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「ねっ? とてつもなく旨いでしょう?」 「うん、とてつもなく美味しいね。」 彼の後に付いて入った和食屋は、12時前だというのに既に混んでいた。 「この豚汁、絶対に森下さんに食べさせたいって思ったんです。」 秋も深まり、朝晩の冷え込みが強くなってきた今の時期だからこそ、美味しさも倍増するのだと思った。 「このお店、ちょっと気に入ったかも。」 「喜んでもらえて、すげー嬉しいです。」 「こんな所にあるなんて全然わからなかったな。」 「俺もっすよ。 できてからまだ半年くらいみたいですけどね。」 最近の私の冴えない姿を見て、こうして連れ出してくれたのだろう。 気遣いの才能はピカイチかもしれない。
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