第十章

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それからの日々は大変なものだった。 入院をする前までの生活が嘘のようで、今、起きている事が信じられないというのが本音だった。 入院してから三ヶ月経過した頃、今の部屋とは違う個室に移るように勧められた。 そう、とうとうカウントダウンが始まったのだ。 残りの月日を家族で過ごせる生活ができる個室へと移るように。 「月菜、ごめんな。」 話ができる状態の時の彼はよく私に対して謝るようになっていた。 「気にしない、気にしない。」 努めて明るく言うしか私にはできず、決して晃太の前では泣かないと決めていた。
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