誕生日

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幾度となく 訪れる冬の季節 君の大好きだった 季節がまた やってくる 冬の冷たい空気が 街に化粧を施す そんな季節に 君は生を受けた。 死ぬ事は 怖くないの ただ貴方に 忘れられる事が 怖いの… そう言って 笑えないのに 君は 強がって笑った 一番苦しいのは 君のハズなのに 僕を和ませる為に 笑う 君が星になる前夜 最初で最後の 我が儘を聞いてと 言ったね この先 貴方の傍に 私じゃない人が いたとしても 誕生日だけは 私を思い出して 生きたいのに 生きられない 体も心も 病気と言う 悪魔が君を 奪っていく…。 無理して 笑うなよ。 今まで君は 頑張って 来たじゃないか もう無理して 笑わなくて いいんだよ 「ありがとう」 どことなく ホッとした 表情で微笑む その笑顔は 君を知る限り 一番綺麗だったよ 真冬の空から 舞い降りた 天使のような 微笑み 僕は思い出す きっとこの先も 君の笑顔を。 悲しい記憶が 薄れてしまっても どんなに月日が 流れても あの笑顔だけは…。
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