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美しい紅い宝石だが、ルビーではない。
どれほどの価値があるのか俺が知る必要は無いが、宝石を見つめると光りの加減で女の悲しげな表情が浮かぶとか。
そこから【歌姫の歎き】という名前になったと聞いたが、その女を誰が歌姫と断定したのか、胸倉を掴んで聞いてみたい。
「これで、仕事は終わりだろ?しばらく休暇をもらいたいね、そろそろ身を潜めての生活にも飽きてきた」
ま、本当は横にいる無駄に元気な奴と2人での生活に、だけど。
『すまんがそうもいかん』
「はぁ?」
『2人にはすぐに別に仕事を請け負ってもらいたいのじゃ』
「いいぜ、どんな仕事なんだじいちゃん」
「待て待て、おいじじい、今回の仕事が終わったら休暇の約束だろ?
しかもこの馬鹿とコンビを組まされるのも最後だってのが俺が今日の仕事を受ける条件だったはずだ」
『それはなしじゃ』
な…………。
このクソジジイ…………。
その一言で片付ける気かおい。
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