Prologue-怪盗稼業も楽じゃねぇっ!

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それに安心するのはまだ早い、あのいつものストーカー女がそろそろ現われそうな……。 と、噂をすればなんとやらだ。 上空から空気を叩くプロペラ音が迫ってきやがった 現われたのは妙に色とりどりの趣味の悪いカラーリングの警察ヘリだ。 先端につけられたライトが、俺が運転する車を照らす。 喧しいプロペラ音の隙間にハウリングの音が混じる。 ったく、またあの女の鬱陶しい演説かよ。 「こらぁー!貴様はかんじぇ!……完全に包囲されている気がしにゃいでもにゃい!……気がしないでもない!神妙にお縄をちょうだいしりょ!」 相変わらず噛み噛みで聞いてるものを苛々させる女の声が、拡声器で変換させれた癖のある音になり、深夜の都会に響く。 包囲したとか言ってるが嘘だな。 検問はまだ張れてないだろうし、追跡車はあらかた振り切った。 第二波が来るまでまだ時間がかかるだろう。 要するに、あのプロペラ音と搭乗者の声で二重に五月蝿いヘリを振り切れば、俺の勝ちだ。
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