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「止まれ!止まれったら止まれ!止まらないと撃ちゅ……撃つぞ!」
それも嘘だな。
俺は自分の首に吊り下がった紅く輝く宝石を見下ろす。
これがある限り、ヘリの機銃なんて強力過ぎる得物を撃てるわけない。
…………あの馬鹿女ならやりそうで怖いが……。
ま、その心配も、すぐに無くなる。
ゴールが見えてきた。
「あの自称美少女警部様に別れの挨拶でもしとくか?」
「そだな、おーい!またなー!元気でなー!」
俺の冗談を真に受けて、助手席に乗った人間の形をした馬鹿が窓から顔を出して大きく手を振る。
警察に別れの挨拶をする元気な泥棒が何処の世界にいるんだ。
「ば、馬鹿にしゅ……馬鹿にするなあああぁぁ!あぁ!?」
女の怒声が、ぶつ切りされて消える。
車が地下へ潜るトンネルに入ったので、ヘリでは追跡出来なくなったのだ。
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