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この時のあたしは、まだ本当の恋を知らなかった。
そんなあたしに刻一刻と、運命の出逢いが近づいていたなんて……この時は知るよしも無かった。
――朝、目が覚めると少し頭痛がした。
このくらいの痛み……全然大丈夫だと思い、熱も測らずに学校に来たのが間違いだった。
時間が経過するにつれ頭痛は酷くなる一方で、授業の内容が、全く頭に入らなくなってしまった。
痛みが我慢の限界を越えたので、休み時間になると親友の乃愛(のあ)に伝言を頼み保健室へと急いだ。
保健室へ向かう途中、倒れるんじゃないかと思うくらい足がフラフラだった。
「歩くのがやっとだー、これじゃあ、授業が頭に入らなくて当然だよね」
小声で独り言を言いながらあたしは、保健室に足を進めた。
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