始まりの日

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「…連絡は回ってたみたいですね」 言外にスタンバイしてたのか、と聞く。 「ああ。バッチリだ!」 わざわざ言わなかった方に答えたらしい。 「…ククッ!…まあ、改めて。 理事長の如月刹那だ。 よろしく。 君のことはある程度は楓に聞いてるよ。」 その言葉に俺は目を見開いた。そして"苦笑のような顔"をする。 「…そこまで回ってるんですか。」 「そうだよ(ニヤリ 津木科楓センセーの義弟君v」 「vを付けないで下さい」 そう。 今まで会話に出てきた"楓"と言う人物は俺の義姉で養い人である。 そして、この学校の保険医だ。 …。 「理事長…。」 「ん?」 先程から疑問だったことをぶつけてみることにした。 「なんで楓さんを名前呼びで呼び捨て何ですか?」 「同級生で悪友だから。」 そうですか。 「まあとりあえず、この学校へようこそ! イロイロ大変だと思うけど、頑張ってくれよ。」 イロイロを強調するなよ。 差し出された手を緩く握り返した。 あ。制服は寮に届けてあるから。と、寮までの地図やら入学式の概要の紙やらをバサバサ渡された。テキトーな人だなオイ。 理事長がニンマリと無言で手を振ってくるので、微妙な顔で頭を下げて理事長室から出て行った。 「…なんか掴めない人だな…。」 紙を抱え廊下を歩きながら声に出して言ってみる。 性格が掴めない。 口調コロコロ変わってるし、何を考えているのかもよく分からない。 とりあえずかなり強い人だってことは分かった。 楓さんよりも確実に。 流石理事長。 その理事長にも貰った地図を広げて寮に向かった。 その時思ったこと。 「…敷地内の寮までの地図書かないと辿り着けない広さの学校ってどんなだよ…」 この学校は規格外過ぎる。 * ―緋煉が出て行った後の理事長室。 そこで理事長――如月は1人机に腰掛けていた。 先程までの気持ち悪い程の笑顔は形を潜め、真剣な表情をしていた。 「数奇な運命だねぇ… そう思うだろう? 楓」 理事長室には合わせて"2人"の人物がいた。 1人は理事長。もう1人は 緋煉の義姉、津木科楓。
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