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受け付けに向かうと1人の黒髪の女性が立っていた。結構美人だ。
「すみません。今日からここに入るんですけど…」
「お名前は?」
「津木科緋煉です」
「分かりました~。少し待ってて下さいね!」
そう言いおいて彼女は小走りで奥の小部屋に向かう。
俺は彼女の自分を見た後の変わらない態度に驚いた。
初対面で髪と目の色に驚かない人は初めてだ。
「すみません!お待たせしましたぁ。」
なんだか転びそうで危なっかしい。
「これが部屋の鍵です。部屋には制服や教材等が既に届けてありますよ~」
小さな封筒に入った鍵らしき物を渡される。
「ありがとうございます。…あの…」
「はい?…ああ!名前ですか?
火宮悠希(カミヤユウキ)です。一応ここの管理人ですよ~」
…この人今何歳なんだろう?
「火宮さん、聞きたいことがあるんですけど…
あなたはなんで、俺の髪を見て驚かないんですか?」
「え…」
火宮さんは少し驚いた後、なんでもないように答えてくれた。
「そうですね~。まあ慣れですかねぇ?普通に染めてる人も居ますし、ほら!魔力がもの凄く強い人は体質とかの影響で髪とか目の色がその強い魔力の属性の色になって生まれてくる人がいるでしょう?そういう人がここには多いんですよ!
流石に白銀の髪は見たことなかったですけどね~」
「…白髪とは間違えないんですね。」
「当たり前ですよ~!
だって白髪はキレイに光りませんもん。」
基準はそこか。
「ありがとうございました。」
「いえいえ~。何かあったら遠慮なく来てくださいね~!」
そこで火宮さんと別れ、俺は自分の部屋に行くため、エレベーターへと歩を進めた。
エントランスを抜けてエレベーターがいくつもある廊下に着いた。
とりあえず、渡された封筒を開けて中身を出してみる。
まさかのカードキーだった。
俺の部屋は403号室。階数は学年ごとに4階ずつに別れているようなので、俺の部屋は1年の階の中での最上階に当たる。
部屋の番号も分かったのでエレベーターに乗って自分の階のボタンを押した。
上に着くまでの短い間、登っていくエレベーターの中から外を見やると、朝の光の中でたくさんの高層ビルが日光を反射して煌めいていた。
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