始まりの日

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俺が開いたエレベーターのドアの先に見たものは、 床全体に敷き詰められた赤い薄い絨毯と黒一色の廊下と白いドアの群れだった。 …やっぱりアレか? 初代の理事長か誰かがチェス大好きだった。とか言うオチなのか!? なんだかもう色々考えるのも面倒臭くなってきたので、自分の部屋に向かう。 カードキーには"403"の数字があったから、エレベーターからは近い。 移動が楽で、面倒臭くない所が気に入った。 「移動距離が短いことでの得」について脳内論議が始まりそうになったところで部屋の前に着いた。 一応カードとドアの番号が間違っていないかを確認して、目の前の白いドアを開ける。 少し広めの玄関と短い廊下を抜けた先で俺を待っていたのは 「…これは広過ぎだろ…。」 広過ぎるリビングだった(色は白な。)。 そこは立派なダイニングキッチンがあって、そこの横にはデカい机とソファーがあった。近くには最新の"横長デカテレビ"まである。他の所を見てみると風呂にトイレに部屋が3つも見つかった。 しかも開ける度に視界が黒や白に変わるオプション付き。 本当に作らせた人のチェス好きを疑う。 左の部屋にはベッドやクローゼット、隣の真ん中の部屋には事前に送っていた荷物があったので、それを整理することにした。 「…そういや」 俺はベッドもクローゼットも棚もある左の部屋を生活空間にすることに決めた。 荷物を収めるべく動き回り、食材も含めて買い出しに行かなければならない物をリストアップしていた時、思い出したことがあってベッドに目を向けた。 そこにはマットレスはあっても布団やシーツがない。 「布団くらい自分で選べ」と言うことなのだろうか。 時間的にはそろそろ昼飯時である。 「買って戻って作って」と言う動作が面倒くさくなったので、片付けを済ませた後、買い出しがてら、昼は外で食べることにした。
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