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片付けを終えた俺は街へ繰り出した。
街は学校を出てすぐなのだが、校内の寮から街まではその広さからしてかなり遠い。
気分的に疲れたので、先に昼食を済ませ、それからリストアップしたものを買いに行った。
帰り道は結構辛かった。別に肉体的には問題ないのだが、あくまでも精神的に。
唯でさえ長い道のりに布団等を含めた大荷物だったのだ。先に昼食を済ませておいてよかった。
帰って来た俺は受け付けの火宮さんに挨拶をしながらエレベーターに向かう。
登りきったエレベーターを降りた俺は自分の部屋の近くに茶色がかった黒髪の知らない男子が立っていることに気づく。
ソイツは何かを探しているようだ。
その前に、ソイツのダボダボのパーカーのフードにソイツのだと思われるカードキーが入っているのは何故なのだろうか?
と。
そんなことを思っているとソイツが俺の存在に気付いた。
「おおっ!ちょっとそこのヤツ!!俺のカードキー探すの手伝ってくれねーか!?」
……アイツは馬鹿なんだろうか?
「…それならお前のフードの中に入ってるけど。」
「マジか!?…お!ホントにあった。お前いいヤツだな!!」
「…別に。」
めちゃくちゃイイ笑顔で言われたから、返事に困ってしまった。
「お前俺と同じ1年だよな!?名前なんて言うんだ!?」
「……津木科緋煉だ。」
「そうか!俺は有月一(アリヅキハジメ)だ。知り合い居なくてどーしよーかと思ってたんだ!これからよろしくな!!」
そう言って、ニシシと笑いながら手を差し出してくる。
…一方的に話すし少しうるさい気もするが、嫌いじゃない。
俺は一の手をとった。
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