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――昔々あるところに1人の神様がいました。
その神様は全てのモノを作ったヒトでしたが、名前を持っていませんでした。
別に彼は気にしていませんでした。
彼には名前を付けてくれるような"存在"がいなかったし、有っても無くても自分が不自由するとは思えなかったからです。
でも、彼は寂しかった。
"セカイ"は全ても、彼自身さえも白過ぎたから。
だから彼は"世界"を創った。
海を創り陸を創り植物を創り生き物を創り――、
神を造った。
そして彼等も世界を創った。
神様は全てのモノに名前を与えた。
それでも彼に名前はなかった。
創られたモノ達は自分達だけが名前を持つのは生みの親である彼に失礼だと思ったが、彼はその考えを受け付けなかった。
だから、せめてと。
創られたモノ達は彼をこう呼んだ。
<創世主>と―――。
それから神様―<創世主>は色々なものを創りました。
生きるのに必要なものを与え、生き残るための知恵も力も与えました。
一度にたくさんの物を創った<創世主>はとても疲れていました。
後のことを他の神々に任せ、しばらくの間眠りにつくことにしました。
彼は世界の中心にある大樹、<始まりの樹>と一体化し、そこで<始まりの樹>を通して大地に"力"を送りつつ、長い眠りにつきました。
彼は眠っている間彼自身を守るため、彼が一番信頼していた、彼を一番したい付き従っていた、<狼神>ウルゼアを側に置き、外からの干渉を避けさせました。
ウルゼアは空のような色の瞳と白銀の体の巨狼でした。
ウルゼアも神の頼みを受け入れ、喜んでその任を担いました。
彼が眠りについてから長い年月が過ぎました――。
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