入学式

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8時45分。 俺は今学校に向かって"全力疾走"している。 こんなコトになったのは 「なあ緋煉!悪かったって!!」 全部コイツのせいである。 「…もうお前なんか絶対待たない…」 少しの怨念を込めてぼそりと呟く。 「はぁっ、お前っ、冗談キツいぜ!」 聞こえていたらしい。 一は軽く息切れしつつも少し遅れて俺についてくる。 …コイツどんだけ体力あるんだろう。 俺のスピードは常人には結構キツい速度なのだが。 そう思う俺は一と違って息一つ乱れていない。 つまり、本気はまだ出してもいないのだ。 学校の校舎の一部が見えたので、俺は少し加速する。 「おまっ…!1人でよゆ、そうにスピード上げ、じゃ、ねぇっ!!」 後ろから一の悲鳴に近い声が追ってくるが、まださっきのことを根に持っていた俺はチラリと一を一瞥した後、見えてきた校門に向かってラストスパートをかけた。 一は放置して。 裏切り者ーーー!!、なんて声が聞こえてきたので振り向かないで片手を降ってやった。 * 「誰だろうアレ?足凄く速いなぁ」 しかももう1人の人置いてってるし。 緋煉達が走ってくる様子を教室から見ている女子が1人いた。 教室はまだ引率の先生が来ておらず、ざわついている。 時計は8時48分を指していた。 * 昇降口で確認した教室に向かって俺は走っていく。確か教室は1-Bだったと思う。 50分のチャイムまでに間に合うだろうか。 長い廊下を走り抜けて1-Bのドアを開けた。 何人かが『誰だアイツ?ギリギリだな』的な目でこっちを見たが、髪と目の色に驚いたらしく俺の頭に目が釘付けだ。 そういった目に晒されるのに慣れている俺は、特に気にすることもなく空いていた一番後ろの長机の所に座った。 その直後にチャイムが鳴る。 俺は本当にギリギリだったようだ。
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