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「は~…。まさか入学式であんなにヒヤヒヤすることになるとは思わなかったよ~」
全くだ。
まあその会場をヒヤヒヤさせた原因は、あのヤクザ教師なのだが。
入学式は終わり、今はたくさんの1年生の列の中を"3"人で歩いていた。
俺と秀で歩いているようなものだから表現は"2"人でいい気もするが、
…もう1人いる。
俺達の後ろを寝ながら歩いてるヤツが。
チラッと後ろを見てはみるが起きる気配が全くない。
起きるどころか寝たまま器用に障害物を避けながら歩いている。
よく見てみればソイツは秀にそっくりだった。
―クスクス
「気になる?」
気付かれる程にガン見していたらしく、なんとなく気まずい気分だ。
「まあそれなりに。お前に似てるし歩きながら寝てるし。
…ついでに言うと、周りからの視線が痛いんだが。」
俺の言うように、周りからは寝たままの男子生徒に着いてこられている俺達に珍生物を見るような好奇心の強い視線が向けられていた。
「…まあ気にしないで。
いつもだから!」
いいのかそれで。
「話戻すけど」
話戻す程脱線してなくないか?
「まあ気にしないで」
心の声に答えられた。
「あの歩きながら寝てるヤツは椎名閃(シイナセン)。僕の双子の兄貴!
特技はどこでも寝れるし歩きながら寝れること!…まあ他にも色々あるけど。
挨拶するなら起こすけど?」
「いや、いいよ。寝てるのに悪いしな」
「閃は寝過ぎなんだよ!!閃にだけは『寝る子は育つ』ってことわざ当てはめたくないね!」
「…………………大器晩成型なんじゃ…。」
「じゃあなんで僕は伸びないんだよー!!」
それは墓穴じゃ「うるさいよ!!」
さっきから心の声を読まれているが特に気にしないことにした。
騒ぎながら(←一方的に)歩いていると教室に着いたので一旦話を止めて中に入った。
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