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教室にはもう大分生徒が入ってきていた
が。
「…これからどうしろって言うんだろうねぇ?」
先生がまだ来ない。
多分この後は生徒の自己紹介なんかして解散なんだろうが。
……また誰かを簀巻きにしに行ったんだろうか…?
「センセー一君みたいに誰かを簀巻きにしn《―スパーンっ 》Σ?」
誰かが入ってきたのはわかったが、人の群れで誰かわからない。
青木部先生だったら、彼女は極度の地獄耳だ。
「はいはーい。みんな青木部センセーが来るまで騒いでてもいいから席着いててね~!
簀巻きのセンセーは吊されてた子下ろしてたからもうすぐ来ると思うよ~(笑)!」
………もの凄く聞き覚えのある声がした。
席に着き始める生徒達の間に緑の光沢の頭が1つ。
嫌な予感がする。
「誰ですかセンセー!?」
「うん?あ!ちょっと待って。
ひっれーーーーんっ!!」
―ドズン
「っぐ!」
俺は油断していたこともあって構える暇もなく鳩尾に重い一撃を食らった。
吹っ飛びそうになったのをすんでのところで堪えて幾分か低い位置にある緑頭の肩を掴む。
「っ…ゲホッ!か、楓さん何す…っ…!」
そこで俺の意識は暗転した。
*
緋煉の側に座っていた僕には頭突きされて吹っ飛びそうになった緋煉がよく見えた。
っていうか人がぶつかる音で『ドズン』って何!?
「っ…ゲホッ!か、楓さん何す…っ…!」
―ドサッ
とかなんとか思ってる内に緋煉が気絶させられちゃったよ?おーい。
マジで何したのセンセーィ。
先生は気絶した緋煉を仰向けにして
「『マルゴラ・チェイン』」
魔法を放った。しかも捕縛系の上級魔法。
確かあれは魔獣討伐なんかに応用される扱いが難しい魔法だったと思うんだけど…。
記憶を漁っている間に緋煉はあっという間に鎖と布だらけになっていた。
さらに。
「メルちゃん、巻いちゃって!」
いつの間にやら先生の背後に黒い影。
ソイツの肩の辺りから黒い帯状の物体が伸びてきてミイラ状態の緋煉を絡め取った。
黒く屈強な体に高い体高、牡牛のようにねじ曲がった角、赤く小さな目とは反対にその口は大きく裂けている。
あれは確か――。
「首狩獄長<メルゴレアス>か。」
自分と似て非なる声がした。
後ろを振り返ると寝たまま座るところまでやってのけたらしい自分の片割れが目を開けてこっちを見ていた。
「閃……。
いつ起きたの?」
「魔力感知直後。」
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