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「…これ何?」
「能力の抑制と封印の魔法をかけた御守り!
強いヤツだけど暴走防止用だから普段はなんともないはずだよ!」
「…。」
…アクセサリー嫌いなんだけど。
そう言うのを予想してか「肌身離さず持っててよ!」、と釘を刺され、言いかけた不平を飲み込んだ。
「……………わかった。貰っとく。」
「うん!じゃあそろそろ戻っていいよ。多分葵涙が終わらせてると思うし!」
簀巻きのヤクザ教師か…。
そう思いながらシャツを羽織った。
「ああ。それじゃ。」
「ありがとうは!?」
……。言わない。
誘拐されたので相殺されたから。
声に出す代わりに右手を上げた。
*
「あれ…?そういえば緋煉、教室の場所分かるのかな?」
見送ってしばらくしてから楓は気付いた。気絶していた為緋煉が道を知らないことに。
心配になったのか心なしか表情も曇っている。
う~ん
う~ん
……ッハ!
「あ!ケーキないっ!?ケーキッ、誰かけぇーきぃい!!!!」
義弟の心配よりケーキを優先するアホな義姉であった。
*
俺は教室まで戻ってきていた。
保健室からの経路を間違うことはなかったが、面倒だったことは否めない。
―ガラッ「…ん?おお緋煉!遅かったな。」
無人だと思っていた教室には何故か一が残っていた。
「…何でお前がいるんだ?」
「待っててやったのになんだその言い草はー!!
……と言ってやりたいところだが、起きたら誰もいなかったんだよ…。」
…。
「…可愛そうなヤツだなお前。」
「ちょっと!!緋煉クン!?俺泣くよ!!!?」
…。
「無視すんなぁああ(泣)!!!!」
「………………簀巻k「スミマセンでしたぁああああ!!!!!!」…。」
"▼一はスライディンク土下座をした!
HPが50下がった!"
……よし。このネタ使える。
一は青木部先生によって相当な恐怖を植え付けられたようだった。
「…おい。帰るぞ。」
「…お?」
荷物を持った俺はまだ落ち込んでいる一に声をかけた。
「…お前がいたいのなら喜んで置いて帰るけど。」
「か、帰るっての!そんなアホな願望は持ってねーよ!!」
「どーだか。」
教室のドアに向き直った俺の胸の上で翡翠色の光が踊る。
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