20人が本棚に入れています
本棚に追加
――日本、某所。
1つの小さな集落があった。
山村の山の整備をする者でも立ち入らないような険しい山奥。
その集落は外界から隔離された所の割には人で賑わっていた。
その集落から少し離れた所にソレはあった。
一軒の木造の家。
いや、家と言うよりは小屋と言った方が正しいのかもしれない。
中には仕切りが一切なく、格子の填められた窓と扉と少しの日用品以外、何もなかった。
その小屋の中に、1人の傷だらけの少年がぽつんと座っていた。
少年は何をするでもなく、虚空を見つめていた。
その時――
―バァンッ
勢いよく小屋の扉が開かれた。
「…今日も生きてたのか。恥曝し」
3人の大柄な少年達が立っていた。
「なんでお前なんかが生きてんだよ!!!?お前がいるせいで、俺等は族長になれないんだぞ!?責任とれよ!!」
少年達の内1人が喚きながら少年を殴りつけた。
それを皮切りに残りの2人も少年に暴行し始める。
どれだけ殴られても、少年は彼等に抵抗しなかった。
多勢に無勢な上に元々あった衰弱、何より、少年はこうされることに慣れ過ぎていた。
少年達の暴行はまだまだ続く。
「なんで力も使えないお前なんかが始祖と同じ銀髪なんだ!!!?」
…そんなコト、こっちが聞きたい…。
その言葉は声にされることはなかった。
少年達は少年をひとしきり殴った後、小さな体をそのままに小屋から去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!