プロローグ

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頭が真っ白になった。 「…し、んだ…?」 「正確にはオレ達が殺したんだけどなぁ!!」 …殺した? コイツ等が? コイツ等に父さんと母さんが殺された? 「ホントウザかったぜー。お前を返せって言い縋ってきてよぉ!最後はボロ切れみたいになって散っていったぜ。 お前んとこは親もクズだな!!」 《―ブチンッ》 "オレ"の中で何かが弾ける音がした。 《―ドクンッ》 「っ!…ぁあア゛アアアぁあアアあアアアアッ!!!!」 突如、体の異変と共に螺旋状に炎が吹き上がった。 そのまま少年の体を覆い込む。 「なっ!!何だコイツ!?」 炎が撫でていった部位から、徐々に体の形状が変化し、少年を人でないモノに変えていく。 「オイッ!?何だありゃあっ!!!?」 「…"変化(へんげ)"だ…! アイツ、始祖様の血に目覚めやがったんだ!!」 有り得ないと思われていた事が起こり、男達の顔が驚愕に染まる。 マズい事態に陥っていた事にやっと男達が気付いた時には、もう遅かった。 炎の渦から出てきた"ソレ"は異質な気配を醸し出していた。 例えるなら《混沌》。 その言葉に相応しい程に怒り等の激しい感情が混ざり合い、息がし辛い程の重苦しさが放たれている。 そして何よりも強烈なのが ――殺気。 白銀の体毛のソレは、変化前は黒だった瞳を 地獄の業火を閉じ込めたような紅蓮に変えていた。 死のビジョンで頭を埋め尽くされた男達は 「ヤベェッ!!逃げ――」 逃げるよりも速く ―ザシュッ 己の体と別れを遂げた。
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