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余りにも手帳をあっさり開いたので、杏菜は悲鳴に近い声を上げて周囲を伺った。
杏菜には、後ろめたさがあるのだろう。
「何だよ、これ……」
そんな杏菜を尻目に、洋輔は手帳に視線を落としたままで動かなくなった。
驚愕の内容。
驚愕の内容ではあるが、洋輔の予測した部分でもあった。
ただ予測を遥かに超越した内容に、洋輔は驚愕して動けなくなったのだ。
「洋ちゃん?」
「あぁ……」
「あぁ、じゃなくて何が書いてあるの?」
「アドレスだよ。ただ、その内容がとんでも無いけどね」
「とんでも無い?」
見るなと洋輔を諫めておきながら、余りの様子に手帳に興味を示す。
この状況では、誰でも気になるだろう。
洋輔は一瞬躊躇しながら、手帳を開いたままで杏菜にそれを手渡した。
「何、これ……」
杏菜も、洋輔と同じリアクションだった。
手帳の内容。
各ページにギッシリと書かれた名前の下に、住所や電話番号の他に警察官僚の役職や、警察署長を勤める警察署が記入されている。
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