第二章 雪女の戦略

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   もしも、この手帳の人物全てと源治が関係あるならば、単純に警察に顔が利くと言う事になる。  ただし、手帳の古さからして記載された人物の大半は、亡くなっている可能性が高いだろう。  だが、その人間関係が引き継がれているとするなら。 「ボクが、警察の捜査対象から外れた理由の説明はつく」 「おじいちゃんが、手を回したって言いたいの?」 「だから、説明がつくってだけだよ」 「でも……」 「分かってるよ」  フィクションの世界でなら、警察の捜査に圧力が加わったり一般人の知らない裏があるだろう。  だが、警察関係者でもない老人の圧力で、捜査対象をどうこう出来る筈がない。  何がどうであれ、何かしらの力が働いた。 「事実は、事実だからなぁ」 「ねぇ、洋ちゃん。実は、おじいちゃんが警視総監って事は無い?」 「杏菜、じいちゃんは八十だって忘れてないか?」 「あっ、定年退職……」  仮に、『元』が着いたとしても捜査に口出し出来るものか。  もう、フィクションの世界でしか説明がつかない。
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