第二章 雪女の戦略

11/47
287人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
   だが、杏菜は元警視総監説に食い付いた。 「それに、じいちゃん。中学しか出てないはずだから、仮に警察官だった過去があったとしても、キャリアじゃなければ警視総監なんてなれないよ」 「そう言うもんなんだ……」 「まぁ、警察にボクらの知らない裏があるって事で、今のところは納得するしか無いんじゃないか?」  明確な理由は、結局分からなかった。  だが、少なからず源治に関する新たな事実を知り、心に引っ掛かっていた疑問が解けた。  源治は、警察と関わりを持っている。  詳細は、源治を取っ捕まえて聞き出せばいい。その事実が常識外れだろうが、源治は嘘を付いたりしないだろう。  そうなれば、次に洋輔がやる事は決まっている。 「妖界に行こう……」 「んっ、洋ちゃん。今、何か言った?」 「何でもない」  洋輔は、杏菜から妖怪の話題が振られる前に、適当な理由をつけて道場の事務所から脱出した。  その足は、自宅へ向かう。
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!