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雪女は話しをそらしたが、カラス天狗は気にも止めずに雪女を見詰め続ける。
答えるまで、動かないと言う意志を示しているようだ。
「どうなんだ?」
「あぁ、その通りさ。だが、お前さんの主は条件を厄介にしてくれたよ」
「極点の結界の事か」
「なんだい。そこまで聞いてたなら、アタイに確かめる事なんて無いじゃないか」
カラス天狗の顔は、雪女のように人のものでは無いために、完全なる無表情である。
それが、雪女の神経を逆撫でした。
鳥の顔で、表情を出せと言うのも酷な話しである。
「あの結界を、どうにか出来るのか?」
「お前さん達、大妖の側近共でも出来ない事が、アタイに出来るものかと言いたいのかい?」
「近寄る事が叶わなければ、結界崩しなどやりようが無かろう」
雪女はカラス天狗の声色から、その心の表情を読み取っていた。
カラス天狗は戸惑っている。
あの大妖相手に、意識を完全に支配され無いだけで驚異で、その上で城を寄越せと条件を出した。
カラス天狗では、考えもしない事。
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