第二章 雪女の戦略

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   カラス天狗は、雪女に驚異を感じている。  もしも、雪女が折原 洋輔を打ち倒し、極点の決壊破りに成功したならば、大妖は不死城を与えるだろう  そうなった時、側近の妖はどうなるのか。  特に、側近の中でも末席にいるカラス天狗などは、側近から外されてしまうかもしれない。  それ故、様子を見に来たのだろう。 「あんな結界など、どうとでも出来るわよ」 「近寄れなくてもか?」 「あんな物は、アタイが手を下すまでも無いよ」  雪女は、悪戯に笑った。  実際には言葉ほど簡単では無いだろうが、平常心を失っているカラス天狗をからかうには、これほど効果的な方法は他に無いだろう。  事実、無表情ながらもカラス天狗の動揺は伝わってくる。 「まずは、折原の兄ちゃんとでも遊んでやるかねぇ」 「折原には、出し抜かれたのでは無かったか?」  その言葉が、カラス天狗の最後の抵抗だった。  それで少しでも、雪女に精神的なダメージを与える事が出来れば、今の気分を紛れさせる事が出来る。  雪女は、再び笑う。
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