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カラス天狗は、雪女に驚異を感じている。
もしも、雪女が折原 洋輔を打ち倒し、極点の決壊破りに成功したならば、大妖は不死城を与えるだろう
そうなった時、側近の妖はどうなるのか。
特に、側近の中でも末席にいるカラス天狗などは、側近から外されてしまうかもしれない。
それ故、様子を見に来たのだろう。
「あんな結界など、どうとでも出来るわよ」
「近寄れなくてもか?」
「あんな物は、アタイが手を下すまでも無いよ」
雪女は、悪戯に笑った。
実際には言葉ほど簡単では無いだろうが、平常心を失っているカラス天狗をからかうには、これほど効果的な方法は他に無いだろう。
事実、無表情ながらもカラス天狗の動揺は伝わってくる。
「まずは、折原の兄ちゃんとでも遊んでやるかねぇ」
「折原には、出し抜かれたのでは無かったか?」
その言葉が、カラス天狗の最後の抵抗だった。
それで少しでも、雪女に精神的なダメージを与える事が出来れば、今の気分を紛れさせる事が出来る。
雪女は、再び笑う。
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