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カラス天狗の最後の抵抗など、鼻先で笑い飛ばしたのだ。
着崩した純白の着流しを翻して、雪女は高らかに笑い飛ばした。
「あんな兄ちゃん。アタイが本気になれば、いつだって殺れるんだよ」
そう言いながら、雪女は体を翻し続ける。
まるで舞っているようで、着流しの袖が波を表現しているようにも見えた。そして、その度に雪が全身から吹き出し雪女の周囲に舞い上がる。
「あの兄ちゃんには、利用価値があるからね。あれだけすれば、こっちにやってくるだろうからね」
その言葉を残し、雪女は雪霞みの中で姿を消した。
しばらくして雪女が戻らないと察し、カラス天狗もその場から飛び去った。
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