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参
妖界。
文字どおり、妖怪の世界である。
人間界とは表裏一体のように存在し、この三百年で人間が出入りする事は無かったのだが、この数日折原 洋輔は三百年振りの人物となった。
その行き来の為には、洋輔の部屋にある古い鏡から神奈により、妖界へ引っ張り込んでもらうしかない。
狐沼から行くには、その能力を有する妖により通る事になる。
どちらにしても、洋輔の意思では行き来出来ない。
今回も、洋輔は自室から妖界に入った。
妖界に入る時、神奈のいる小屋に直接入るのでは無く、一旦何も無い広大な空間に落ち着く。
何も無いとは言っても、ここには三体の妖が存在している。
河童。
鎌鼬。
鬼。
河童は抜きにして、鎌鼬と鬼は戦闘により妖武具に封じた妖怪だ。
この場所は、鏡の世界。
神奈が手にする鏡には、河童の仕込み槍以外の妖武具が納められている。
そして、この世界でだけ武具に封じた妖怪が、実体化し存在できるのだ。
「洋輔殿……」
「鬼か」
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