第二章 雪女の戦略

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   妖界において、鬼の隠れ里は極点の南にある。一方、水や氷の属性の生活エリアは北東の位置である。  そのくらいは、洋輔も知っている。  正反対とも言える地域に暮らす妖に、交流があったとは考えにくい。  まして、属性の違う妖だ。 「鬼と雪女に関係があるの?」 「直接の関係は無いが、この世界に生きる妖なら雪女の怖さは有名だ」 「そうなの?」  洋輔は、河童と鎌鼬に視線を送り確かめる。  二体とも言葉にはしないが、頷く事で肯定の意思表示をしていた。  雪女の怖さ。  妖界において北東のエリアで、不死山のすそのは常に雪に覆われた未開の地。  不死である妖でも、足を踏み入れれば永遠にさ迷い続ける事となる。そこに暮らす雪女や雪男は、他の妖との関わりを嫌いエリアから出ようとしない。  だがひと度、雪女に敵意を持つと雪や氷を操る能力で、一生動きを封じられてしまう。 「人間なら、それで命を失う」 「なるほど……」 「それに、大妖の妖気を受けたとなると、攻撃的になるから余計に厄介だろう」
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