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鎌鼬も鬼も、そうだった。
妖自身の意思では、一度受け入れた大妖の妖気には抗う術は無い。
「雪女に、勝てるのか?」
「分からない。でも雪女は人間界に、何かしらの影響を与えられる可能性があるから戦うしかないよ」
「だが……」
「とにかく、神奈ちゃんと雲外鏡のところに行って、これからの事を話してみるよ」
そう言われると、鬼達には何も言える事は無い。
三体の気持ちは、洋輔にも理解できている。
心配なのだろう。
実体化した姿では無いにしろ共に戦う仲間であり、鎌鼬と鬼に取っては洋輔は恩人なのである。
「近い内、みんなとゆっくり話しに来るよ」
洋輔は、三体にそう言って手を振った。
光の柱が出現し、洋輔がその中に身を置くと沈み込むような感覚の中で、その体は小屋の中に移動した。
「洋輔殿……」
洋輔を見送った三体は、心配そうな顔で見詰め合った。
気が付くと、洋輔は神奈の待つ小屋の中に立っていた。
神奈は、三つ指をついて深々と頭を下げて洋輔を出迎えている。
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