第二章 雪女の戦略

23/47
前へ
/265ページ
次へ
   その姿を見て、洋輔は頭を掻いて困った顔をする。 「神奈ちゃん、その出迎えは止めてくれない?」 「いえ、折原の御当主である洋輔さまをお出迎えするのです。九条の者として、これだけは譲れません」  神奈は頭を上げ、その可憐な笑顔を洋輔に見せる。  どう見ても、中学生の少女。  とても実年齢が、三百二十五歳には見えないから洋輔も敬語を使わないが、もしも元の年齢の二十五歳の姿ならば敬語を使うだろう。  そうなれば、神奈が黙っていないだろうが。 「やっぱり、神奈ちゃんは神奈ちゃんか」 「どういう事で、御座いますか。洋輔さま?」 「まぁ、いいじゃないか」  洋輔は、その足で雲外鏡の前まで行った。  そして、雲外鏡が問いかけてくるのを待つ。 『洋輔か、よく来たな』 「雲外鏡、教えて欲しいんだ。今度の敵は、狐沼で僕を襲ってきた雪女なんだろ?」 『あぁ、そうじゃな』 「雪女は、大妖に取り込まれたの?」 『何故、そんな事を聞く』 「まぁ、何となく」  雲外鏡は、雪女を映し出す。
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!

287人が本棚に入れています
本棚に追加