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その姿を見て、洋輔は頭を掻いて困った顔をする。
「神奈ちゃん、その出迎えは止めてくれない?」
「いえ、折原の御当主である洋輔さまをお出迎えするのです。九条の者として、これだけは譲れません」
神奈は頭を上げ、その可憐な笑顔を洋輔に見せる。
どう見ても、中学生の少女。
とても実年齢が、三百二十五歳には見えないから洋輔も敬語を使わないが、もしも元の年齢の二十五歳の姿ならば敬語を使うだろう。
そうなれば、神奈が黙っていないだろうが。
「やっぱり、神奈ちゃんは神奈ちゃんか」
「どういう事で、御座いますか。洋輔さま?」
「まぁ、いいじゃないか」
洋輔は、その足で雲外鏡の前まで行った。
そして、雲外鏡が問いかけてくるのを待つ。
『洋輔か、よく来たな』
「雲外鏡、教えて欲しいんだ。今度の敵は、狐沼で僕を襲ってきた雪女なんだろ?」
『あぁ、そうじゃな』
「雪女は、大妖に取り込まれたの?」
『何故、そんな事を聞く』
「まぁ、何となく」
雲外鏡は、雪女を映し出す。
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