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洋輔としては安易だと思ったのだが、一番に思い浮かんだのがその名前だったのだ。
「俺が、次郎丸。うん、良い名だな」
鬼は、洋輔の付けた名前を気に入り喜んだ。
神奈は、鬼が納得するならと異論を唱えない。元よりそれは、洋輔に逆らう事になってしまう。
そんな事が、神奈に出来よう筈が無い。
『洋輔よ、ワシに名前なんぞ付けてくれるなよ』
「雲外鏡」
『ワシは、お主の従者でも何でも無いからな』
「雲外鏡っ、洋輔さまに何て事を言うのです」
「神奈ちゃん、いいから。雲外鏡は、雲外鏡だろ」
洋輔の言葉に、神奈はふて腐れ雲外鏡は無言で納得する。
そして、洋輔は他の妖にも名前を付けてみた。
河童は、河太郎。
鎌鼬は、旋刃と書いて「つむじ」と名付けた。
「流石、洋輔さま。どれも、素晴らしい名前で御座います」
神奈は、お世辞じゃなく洋輔を讃えた。
洋輔としても、褒められて悪い気はしない。それで、無意識に腰に備え付けた仕込み槍に手をやる。
槍は、仄かに熱を帯びていた。
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