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河童の仕込み槍を手に取る。
いつものように、左手に三拍子のリズムが伝わってくるのだが、意識しなくても同調している。
「洋輔さま?」
「神奈ちゃん、変わった」
「何が、変わったので御座いますか?」
「何と言うか、槍との同調が自然なんだ」
そう言うと洋輔は、何のアクションも起こさず槍を伸ばすと、鬼の鼻先でその穂先を止める。
余りに一瞬の事で、鬼は身動き一つ出来なかった。
槍の伸縮速度が上がる。
それも、同調が深まった証拠なのであろうし、鬼の鼻先寸前で止めたのも同様だろう。
「神奈ちゃん、鬼の金棒」
「はい。かしこまりました、洋輔さま」
洋輔は、金棒を受けとる前に小屋の外へ出た。
流石に、金棒にどのような能力があるのか分からず、どれだけの破壊力を放つのかも分からない。
それを考え、小屋の外へ出たのだろう。
「洋輔さま」
神奈は、胸の前に鏡を構えると呪文を唱えた。
その呪文に応えるように、鏡面が輝きを放つと共にそこから金棒の一部が競り出してきた。
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