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  未流は電車から視線を空に移す。そこには淡い紫色に光った雲が、名残(なごり)のように浮かんでいる。 そのとき携帯が鳴った。 未流は慌ててベッドに戻り携帯を取り上げる。遥からだ。 「もしもし」 「未流? 明日の昼一緒に食事しない?」 「いいけど。急にどうして?」 受話器の向こうから遥の明るい声が聞こえた。 「兄貴(あにき)と充さんが、一緒に食事しようって誘ってくれた」 .
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