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これは、わたしが小学生だったころの話です。
わたしの家は学校から遠く、大勢の友達と一緒に帰ってきても、5分ほどで友達と別れてしまうのです。
ある夏の暑い日、いつもより少し、帰るのが遅れてしまいました。
"遅れた"と言っても6時くらいで、夏だったということもあり、さほど暗くはなかったのです。
いつも通り、田んぼのよこの道を歩いていたとき、10メートルほど前に冬物のコートを着て、帽子をかぶった髪の長い女の人が立っていました。
「こんなに暑いのに…変だなぁ。」と、思いつつ、しかし好奇心でその女の人のところまで早足で歩きました。
しかし、先ほどまでそこにいたはずの女の人はいなくなっていたのです。
わたしは怖くなりました。女の人が立っていたその道は一本道で、右手側は田んぼ、左手側は家の壁だったのです。
もちろん、隠れることは不可能です。
わたしは走って家まで帰りました。
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