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「痛え……」
思わず頭を抑え、呻き声が口の隙間から漏れ出た。しかし、それで俺はあることに気付いた。
声が出る。今まではどういうことか声がほぼ出なかった。出たとしてもほぼうめき声にすらならない音だったにもかかわらず、今はきちんと声が出ている、と言っても今でもまだ呟きほどの大きさの声しか出ないのだが。
「やあ、囚人。目は覚めたかな」
その時、誰もいなかった筈の病室に声が響いた。
素早く俺はその声の主を探した。だが案外素早くその主は見つかった。
病室の扉の前に、眼鏡をかけた男が立っていた。
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