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「理由かい? 言ってもいいが、君は多分納得しないだろうね」
真剣な面持ち。しかし、そんな曖昧で意味の分からない言葉で納得できるはずもない。
「どういう意味だ、真面目に答えろ」
殺意と真剣さを言葉に含ませて、俺は一語一語を口から吐き出す。
その殺意を感じ取ったのか、男の無表情が一瞬崩れる。しかし、焦っている様子も恐怖している様子すら伺えない。
「……信じないかもしれないが、君を監禁していたのは『政府』なんだ。君には科学的な価値がある」
男が不意に切り出した。しかし、急すぎるその告白を理解できるほど俺には順応性が無かった。
政府? 政府が俺を監禁していたのか? 下手な小説家が使いそうな使い古されたネタ、しかし目の前で実際に起きればそんなことすら考えられない。
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