教育

7/34
前へ
/59ページ
次へ
「理由かい? 言ってもいいが、君は多分納得しないだろうね」  真剣な面持ち。しかし、そんな曖昧で意味の分からない言葉で納得できるはずもない。 「どういう意味だ、真面目に答えろ」  殺意と真剣さを言葉に含ませて、俺は一語一語を口から吐き出す。  その殺意を感じ取ったのか、男の無表情が一瞬崩れる。しかし、焦っている様子も恐怖している様子すら伺えない。 「……信じないかもしれないが、君を監禁していたのは『政府』なんだ。君には科学的な価値がある」  男が不意に切り出した。しかし、急すぎるその告白を理解できるほど俺には順応性が無かった。  政府? 政府が俺を監禁していたのか? 下手な小説家が使いそうな使い古されたネタ、しかし目の前で実際に起きればそんなことすら考えられない。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加