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「科学的……価値?」
震える声で、俺はゆっくりその一言を搾り出した。他にも色々なことを聞くつもりだったのだが、あまりの出来事に脳がついていかず、この一言しか出なかったのだ。
しかし、男は俺とは対照的にいたって冷静な様子で話す。
「そうだ。詳しい説明は省くとして、君はある理由から政府機関によって実験の対象となった。しかし、君の実験はあまり上手くいかず、結局政府の高官たちは惰性で君の監禁を続行することにしたんだ」
「…………」
この男の言い分はあまりにも信じがたい。この話に出てくるキーワードは『政府』『実験』『高官』など、いかにも自分が特別な存在だと思い込んでいるような人間なら簡単に釣られそうだが、俺には信じられない。
男の話はまだ続く。
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