監禁

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 今日は、何日だろう。  彼は薄れた意識の中で、唯一自由に動く首を上に向けて、埃や蜘蛛の巣が張っている薄汚れた天井を見遣る。  ここから出られる日は来るのだろうか。  彼は口を開いて、大きくため息をつこうとする。しかし、発作のような呼吸しかできない。  鎖に繋がれて手足を動かすことすらままならない。しかし、彼はこの不自由さにはもう慣れていた。  光さえ射さないこの薄暗く、地球のものとは思えないほどの牢獄。正直何故監禁されているのか、彼自身でさえ理解していなかった。  犯罪でも犯したか? いや、そんなことはしていない。今までに犯した犯罪といえばせいぜい信号無視程度だ。いや、まさかそんな軽犯罪でこんな理不尽な監禁をするような警察機関はこの世に存在する筈がない。  彼は自問自答を繰り返す。
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