教育

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「DNA配列を詳しく研究した結果、君の配列はまさに奇跡だった。超能力を秘めている、それを暗示しているような配列だったよ」  その時を思い出すかのように男は天井を仰いで笑みを浮かべる。その様子は、不気味だった。 「……ちょっと待て」 「なんだ?」  俺の言葉に反応し、素早く元の表情に戻って俺と目を合わせた。 「……超能力とか、有り得ないだろ」  正直な気持ちがこれだった。その言葉を聞いて男は怪訝そうな表情を浮かべる。 「超能力なんてSFやファンタジーの中での話だ。この近代的な科学社会でそんなもんは無い」  ついに言い切った。先ほどまでは何も情報が無く、的外れなことを言わないように強くは言わなかったが、監禁されていた動機を知った今、強く発言できる。  逆にこんなふざけた理由であの地獄のような牢で監禁されていたと思うとはらわたが煮えくり返ってきた。
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