教育

18/34
前へ
/59ページ
次へ
「私は研究チームを総動員し、君について詳しく調査を開始した。君の出生届けや普段の食生活、更には徹底的に今までに応募した懸賞についても調査した。全ては遺伝子のため、全人類のためだったんだ」  涙を拭き、先程までと同じように落ち着いた口調で再び男は話し始める。だが話の内容はとんでもない。 「……ストーカーじゃねぇか」  俺は思ったことを隠すこともなく、いや、隠そうとすらせずに本音を吐き捨てた。この男の言っていることが真実なのだとすれば、完璧なストーカー行為をされていた、ということだ。  しかも、それを本人の前でカミングアウト。どれだけ自信ありげなんだ。自信ありげに言えば許してもらえるとでも思ったのだろうか。まったくもって意味が分からない。  更にそのストーカー行為を行っていたのは政府関係のプロジェクトの関係者。どれだけこの国は腐っているんだと思わず心の中で毒づく。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加