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そのまま、男は扉から牢を出て行こうとした。
「……ぇ……」
このままでは再びこの暗い牢に閉じ込められたままになる。そんなことは嫌だ。孤独なまま死にたくない。出て行かないでくれ。そう叫ぼうとしたが、声が出ない。
しかし、彼のその必死な様相を見たのか、男は振り返ってへらへらと笑い、ぺらぺらと言葉を連ねる。
「ああ、そんなに心配しなくても良いよ。君はそのうち必要になるんだ、私の計画には必要な要素だからね、君は」
そのままその男は、吸い込まれるように扉の奥へと消えていった。
そして、その扉は大きな音を立てて閉じられ、再び彼の牢は暗闇に包まれた。
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