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不良は否定を脳内に巡らさずにはいられなかった。そして、それを口に出してしまう。
「知・ら・ね・ぇ・よ、小説狂? 自分で言って恥ずかしくならないのか?」
瞬間、自らを小説狂と称した人物は、とてもとても悲しそうな顔で不良を見つめた。
その切なげな瞳は不良の心を傷めつける。
「うっ、そんな目で見るな。悪かった、悪かったから泣くな、いいな絶対に泣くなよ?」
「え、キミ、ボクが泣くとでも思ったの? アホなの? ちなみにスペイン語でニンニクって意味の方のアホじゃないからね、日本語の阿呆だからね?」
けろりとした顔をしながら小説狂は次々と言葉を繰り出し、不良をキョトンとした顔にさせる。
少しの間の後、
「ハッ、お前は小説狂で俺は不良ってことでもういいや、あばよ小説狂」
不良は、半ば無理矢理な形で別れの挨拶を繰り出し、小説狂に背を向けた……が。
「待ちなよ、キミ」
小説狂が不良の右腕を掴んで制した。
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