「えっと……」
彰の車に乗り、揺られながら小道を走る。
「ごめんね、急に決まっちゃって」
「いえ……」
詳しいことは車に乗ってすぐに話してくれた。
彰の説明によると、彰は以前生産会社を仕切る社長だった。
その会社は立ち上げた当初うまくいかず、倒産寸前だったところを祐介が助けたらしい。
その後しばらくして祐介の病気を知り、その時のお礼に何か出来ないかとすっ飛んで行ったところ、祐介に“大切な家族を助けて欲しい”と言われたそうだ。
その事を亜紀に伝え、二人で考えた末にこういう流れになったらしい。
しかしそれだけでは足りないと思った彰は、律儀なことに自分の会社を辞めて病院の院長だった祐介の後を継いだとか。
「まぁ、彰さんも家族同然だったからあまり変わらないしね」
「そうですね、前からちょくちょく遊びに行ってましたし。再婚相手が身内なら兄さんも安心してくれると思います」
「あの、そうじゃなくて……」
花枝には一つ気がかりなことがある。
祐介は院長という立場上、多くの人、病気に対応する能力が必要で、ちょくちょく海外との交流を行っていた。
当然日本より海外での交流が多かった為、海外出張はいつもの事であり、出張期間についても亜紀となかなかの勝負であった。
祐介がいた頃亜紀は近場の会社で事務をしていたが、祐介が亡くなって落ち着いた頃に“この仕事のほうが花ちゃんを支えられる”と言って働きだした。
そして今度は祐介の仕事を継いだ彰も、亜紀と揃って出張の多い仕事をする事になったのである。
「花ちゃん?」
助手席に乗る亜紀が、何も言わない花枝を心配そうに見つめる。
言ってもいいものかと考えていたが、このままでは埒があかないと思った花枝は重い口を開いた。
「あ、あの……二人とも出張多いんでしょ?」
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