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「だからといって人間と石ころを同一視するのは──」
「はい、私もそこが問題でした。初めは人間の差別のみを止めていた私ですが、そのうち万物の差別を止めることにしたんです」
御並は嘆息して続けた。
「人間の差別を止めた時、私は全てを悟ったような孤高感や多幸感を持ちました。しかし気付いたんです。人間は生まれながらにして全てを、差別して、区別して、分別して──生きていることに。それが悪いこととは言いません。しかし私には許されないことだったんです」
そこで
「私は万物の差別を、区別を、分別を、止めました」
決まりごとに例外は作ってはいけませんから、と御並は笑った。
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