モノ

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「問題はどちらに合わせるか、でした」 御並は遠い目をした。 「初め私は万物の基準を人間に決めました。万物を人間と同一視したんです。するとどうでしょう、私は何も出来なくなりました」 御並は渇いた笑みを浮かべた。 「私たちは何をするにも何かを犠牲にしなければいけなかったんです。今迄に行ってきた事柄全てを人間として同一視することで解ったんです。人間──生物は、残酷で、残虐なんだと」 架笠は黙って御並の話を聞いていた。 「だからといって、人間を蔑ろにしてのうのうと生きていけるほど、私の心は非道でも、酷くもありませんでした」 だから 「私は、今度は、全てを自分にとってどうでもいいモノと同一視することにしました」
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