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晴斗は母の前に満面の笑みを浮かべた。
「じゃ、エビとパン粉、買ってこなきゃね。」
母も笑顔で答えてくれた。
…少しだけぎこちなく見えた笑顔が、それでも嬉しかった。
晴斗はシャワーを浴びることにした。
風呂場の鏡にはもう悲しい瞳の自分はいなかった。
そして、スッキリしていたはずの頭が再びざわつき始める。
あの少女は一体、誰なんだろう?
何であんな所に居たのかな?
もしかして泣いていたのかな?
…もう一度会えないのかな?
色々な考えが頭の中を交差した。
「しっかしオレも大胆なコトしたなぁ…。」
初対面の女の子相手に、しかもいきなり、あそこまでキザなセリフを吐いた自分に我ながら脱帽だ。
それにしても…
…あの少女の顔が瞳が…頭から離れない。
一目惚れ…なのだろうか?
いや、たぶんそれだけじゃない。
あの寂しげな瞳を、悲しい横顔をきっと放っておけないんだ。
「なんとかできないかな~?」
ボリボリと頭を掻いて晴斗は浴室から出た。
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