運命

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…あれからどれだけ時間が経ったのだろうか? 身体は寒さでカタカタと震えてくるのに、頭は凄く熱くなってズキズキと痛みだして来る。 雨は強さを増すばかりだ。 …もう立っているだけで精一杯だった。 意識が朦朧としてくる。 さっきから頭の中でこだましていた少女の「さようなら」がいつの間にか止んでいた。 それどころかあの少女の悲しい瞳の、あの横顔を思い出すことさえできなくなっていた。 ここで会えなかったのも運命なのかもしれない。 ふとそんな考えが頭をよぎって、半ば諦めかけたその時だった。
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