プロローグ

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艦長以下数名が出迎えている。 韓信は不思議な力で軍の最高指揮官になり陸、海、空を掌握している。 全員が甲板に並んで、ピシッと敬礼をする。 真っ白いパイロットジャケットを纏って颯爽と歩いてくる。 「将軍、艦長の趙であります」 「どうだ、石井は来たか?」 「はっ!F35とF15の編隊が、福岡空港に着陸しました。石井部隊だと思われます」 「ハハハ……、石井はまだおもちゃに乗っているのか」 「そのようで、作戦室の方へどうぞ……」 艦長が丁寧に中央作戦室までエスコートする。 中央作戦室は空母の中央部にあり、ここからすべての艦艇に命令を出す。総員30名が広い部屋で液晶画面を睨んでいる。 1メートル高い位置に司令テーブルにあり、そこから司令官が各将校に命令をする。 韓信は部屋が見渡せる真ん中の席に座り、7名の部下が韓信を守るように後に立つ。その両サイドに艦長たちが座った。 「ここから大艦隊を指揮できるのだなあ」 「はっ、すべての艦艇は連動してここから指揮できます。総合攻撃モードもあり、すべてのミサイルが連動して発射できます。いざとなれば戦略核ミサイルを石井部隊にぶち込みます」 「そんな無粋な事はするな、綺麗な博多の街が無くなる。皇帝は博多祇園山傘を観たいと仰っていた」 「はっ、将軍の命令がなければ発射できません」 「その替わりに、挨拶代わりに、壱岐の自衛隊基地にたたきこめ、目障りだ」 「千名の隊員と一万人の住民がいますが……」 「かまわん」 「曹は本気だと言うことを世界に発信しろ。甘ちょらいヒューマニズムなど吹き飛ばせ。どうせ壱岐には何もない」 「はっ、今からでしょうか」 「もうすぐ、皇帝の声明がある。その後すぐに花火を上げろ」 「歴史に残ります」 「そうだ、使わない武器など必要ない。核は武器だと曹は核を通常兵器として使用すると世界に発する」 「アメにも戦略核がありますが……」 「アメは反撃してこない、曹とは戦いたくないはずだ。核弾頭の撃ち合いになればアメは滅びる。後方支援だけがアメの戦略だ」 「核を撃てば石井は逃げますでしょか?」 「石井には核がない、逃げるのが普通だ。気が狂っていれば攻撃してくるだろう」 「自分達の戦闘力を知らないって事ですか」 「そうだ、核も持たないでどうやって核を持っている国と戦争をするのだ。一番核の怖さを知っている国が核を持たないとは不思議だ」
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