プロローグ

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「そうですね。兵士が新式の銃で撃たれれば、普通の軍ならその銃かそれ以上の物を渇望するでしょうが、日本は非核三原則など訳のわからない政策を打ち出しました」 「まあ、艦長、その愚策があからさまに分かるだろう」 将校が「艦長、皇帝の声明がはじまります」 大画面に紫禁城の豪華絢爛な門が映し出され、映像が紫禁城の中に入って行く。大広場から玉座がある宮殿が大きくズームアップされる。広場には古来からある甲冑を身に纏い、朱塗りの槍を右手に持っている。二百年前の清の時代を思わせる光景が映し出されている。 さらにカメラは宮殿の中に入り玉座に座っている劉応皇帝をアップにする。金で出来た顔の前にあるすだれを王冠の上にかき揚げた。 ゆっくりと、皇帝は立ち上がった。両手を前に出した。 「国民の皆様、独裁政治は、今、私たちが打破しこの国から消え去りました。共産党幹部の利益のため汗水流して働いても一向に生活が安定しなかっ地方の皆様、悪魔はもういません。今からは、働けば必ず生活は裕福になるし、土地も所有できます。 …………………(中略)……………………。新しい国の名前は仲間と言う意味の「曹」と命名しました。この国はもう不義理な国ではありません。曹国四千の歴史で最も栄華を極めるでしょう」 広場には百人ほどの煌びやかな衣装を着た踊り子が、鐘や太鼓の音に合わせて古来の舞を始めた。 「これで、曹国設立だ。艦長、こっちもでかい花火を打ち上げる。すぐに核ミサイルを壱岐に撃ち込め」 「はっ!何発打てばよろしいでしょうか」 「すべてを灰にしろ」 「広島型の千倍を二発打ち込みます」 「虫一匹たりとも生かしてはならぬ」 「はっ、10分後には発射できます」 「よし、さあ、石井はどうでるか、先の戦争のようにひれ伏すか」 韓信は北朝鮮の国境沿いに住む貧しい農民の家に生まれ、生まれてから白いご飯を見たことがなかった。牛の様にいつも野草を食べて飢えをしのいでいた。家族はその貧しさから抜け出そうと川を渡り、国境を越えようとした時に仲間の裏切りで両親は銃で狙撃され。二つ下の妹と命からがら中国の小さな街にたどり着いた。 妹は栄養失調で腹が膨れ歩く事も出来なくなっていた。韓信はドブにいるネズミを素手で取り,生のまま妹に食わせたが、妹は激しい下痢で「お兄ちゃんお腹が痛い」と言ってすぐに大量下血をして命を落とした。
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