プロローグ

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●中国● 中国北京では、実権を握った富裕層とその手下である軍部が結託して、北京第五首都防衛隊が共産党本部や主要政府ビルを一気に急襲し占領した。資本主義と共産主義の矛盾と摩擦が一気に爆発したのである。 湖主席や共産党の幹部は、天安門広場に無残に首を晒された。大多数の国民は、その行動に諸手をあげて賛同し、全国にその波が広がり警官、兵士、人民によって傲慢な共産党員はすべて惨殺された。戦後、毛沢東が立ち上げ、登小平が完成させた共産党は跡形もなくなったのだ。 中国鉄鋼業界の会長である漢民族の血をひく劉応皇帝が「曹」と新国名を高らかに全世界に発信した。体制も中国本来の市場主義に移行した。 全世界から中国に投資していた企業、銀行、工場、資産はすべて、新国家に帰属すると、政府令を布告した。曹国にいる外国人は、半年間自国に帰ることが認められずに、恐怖にさいなまれながら、高度な技術を曹人に教えている。 ●首相官邸● 石井外務大臣、坂井首相達は、九州沖に停泊している中国大艦隊の対策の閣僚会議を行っていた。 「石井大臣、なぜ、中国は撤退しない」 「九州に侵攻するためでしょう。三枝を殺しましたが、新たな何かを待っているのでしょう」 「何だ!」 「分かりません」 米第七艦隊は両首脳の安保条約会談で関東沖に停泊し東京を守っており、九州まで米軍は手が回らない。中国と直接戦闘をしたくないと言うのが本音である。 ダッダッダッ…… 首相主席秘書官がSPの間を通って血相を変えて、閣僚室に飛び込んできた。 「さ、坂井首相!」 「どうした。閣僚会議中だぞ」 「それが、それが、……」 石井が秘書官の方に立ち上がった。 「どうしたんだ!」 「中、中国で革命が起きました。テ、テレビを見、見てください」 秘書官は興奮して言葉を何度もかんでいる。 石井が冷静に大画面の電源を入れた。 日本のテレビ局は、その情報を得ていないのか、普通のお笑い番組をやっている。 すぐに、報道特別番組とテロップが流れ、ニュースキャスターが画面に現れた。 【中国で大変なことが起きました。中国で革命が起きたようです。現政権は一瞬で殲滅したもようです。それでは、中国特派員にその状況を聞きたいと思います。現地の、橋尾さん】 画面が、天安門広場に切り替わった。 防弾ベストと防弾ヘルメットを被っている記者が汗をタラタラ流している。
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